当事務所の荒川は、会社員時代、総務部に所属し、クレーム対応(処理)も数多くこなしてきました。
今回は、ありがちなクレームとその対処法について、検討してみます。
Ⅰ 前提
クレーム対応にいて大切なのは、まずは相手の言い分を聞くということです。
相手がどのような主張をしているのかを遮ることなく聞きましょう。相槌は必要ですが、ここでは対応者の言い分や会社の都合を差し挟まないようにします。
適宜、相手の話した言葉のトゲを取って言い換えたり、場合によってはそのままオウム返しすることも有効です(リフレイミング、パラフレイミング)。相手としては、真摯に話を聴いてくれていると感じやすくなります。
なぜクレームを出しているのか、何に対してクレームを出しているのかを冷静に判断しましょう。そのうえで、相手が何を要求しているのかを探ります。
中には、何の根拠もなく、ただ話したいだけの場合も多々あります。何をどうしたいのか、どうあってほしいのかという観点で話を聴きます。
一通りの話を聴き終わったら、話してくれたことへお礼を述べ、相手の要求を確認します。たとえ相手の要求が受け入れられない場合でも、「〇様はそのようにお考えなのですね。」と共感の意を示しましょう。
ただし、共感は必要ですが、クレーム内容に関する安易な謝罪はNGです。クレームの内容ではなく、不快な思いをさせたことに対して謝罪することが大切です。クレーム内容に謝罪すると、相手の言い分をそのまま認め、こちらの非を認めたことになるためです。
不快な思いをさせたという事実には謝罪するものの、クレーム内容ついて非を認めたわけではないというスタンスが前提です。
また、クレームは、必ずしも対応者に向けてなされているのではない=自分に言葉が向いているのでなないという事実を認識しておくと、少し気が楽になります。
Ⅱ 想定問答
Q1 〇店の▲という従業員の態度が悪い。不愉快だ。
A1 〇店の▲の態度についてですね。ご不快な思いをさせて申し訳ありません。担当の上長に指導するようお伝えしますので、今後のためにどのような点がいらなかったのかお知らせくださいますでしょうか?
Q2 あなたでは話にならない。責任者を出せ。
A2 このお話しについては、私が責任をもってお伺いいたします。お話しいただいた内容については、担当に共有のうえ、善処させていただきます。
Q3 法的手続をとるぞ。マスコミに流すぞ。
A3 そちら様が本件について、どのような対応をなされるかについては、私どもとしてコメントすることはございません。
Q4 〇は不良品だった。慰謝料をよこせ。誠意を見せろ。
A4 具体的にどのような点に不具合がありましたでしょうか?内容を確認するために、詳しくお話しいただいてもよろしいでしょうか?そのうえで、対応を検討させていただきます。
Q5 待ち時間が長すぎる。何とかしろ。
A5 お待たせして申し訳ありません。改善のため、どのような状況であったかや、具体的な改善策についてお話を伺いながら考えさせてください。
などなど…
次回は、荒川が行政書士として戦う上で、想定しうる防御策(サービスに関するクレーム、非弁行為を主張する弁護士によるクレーム、その他言いがかり的な主張…)について記事にしたいと思います。