何気なく映画のコマーシャルを見ていたところ、裁判ものの映画で「無実を証明せよ」というフレーズがありました。
ところが、「無実を証明する」ことなど可能なのでしょうか?

そもそも、裁判では、原告が権利を主張するときは、原告が事実を証拠をもって立証する必要があります。
刑事訴訟であっても、検察が犯罪の事実を立証する必要があります。

つまり、裁判とは、原告や検察が「事実があったこと」「犯罪行為が行われたこと」を立証する場であります。
そのため、被告や被告人が「無実を証明する」場ではありません。

「無実を証明する」ということは、「やっていないこと」「存在しないこと」を証明することであり、事実上不可能です。
例えば、「存在しないこと」を証明するには、存在する全てのものや派生する事実全てについて例外なく立証する必要があり、そのようなことは不可能です。

民事訴訟でも、債務不存在確認訴訟という類型がありますが、これは、「債務がないこと」を確認するものです。
ここでは、「債務がないこと」を証明するのではなく、相手方(被告)が「(原告に)債務がある」ことを立証する必要があります。
つまり、債務不存在確認訴訟では、相手方(被告)が「(原告に)債務がある」ことを立証できなければ、裁判所は「(原告に)債務はない」と判断することになります。これは、「債務がない」ことを立証するのは事実上不可能であるため、その裏返しとして「債務がある」ことを立証させることにしたものです。

「ないこと」の証明は一般的には不可能とされます。
そのため、行政書士は、行政庁(審査庁)に対しては、許可要件を満たすことを資料をもって主張しているといえます。「資格があること」「要件を満たすこと」などを資料や証拠をもって主張し、行政庁(審査庁)に納得してもらうのが行政書士業務であると思います。