当事務所では、離婚協議書(公正証書原案)の作成のご相談を多く受けています。
その中では、公正証書にしたいが、公証役場での手続きも代理してほしいと依頼されることもあります。
確かに、養育費など長期にわたる支払を約束した場合には、万一の時に備えて強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておくことは安全です。
その意味では、公証役場での手続きも含めて、協議離婚手続き一式を依頼したいという気持ちは理解できます。

しかし、当事務所では、公証役場での代理手続は原則としてお引き受けしていません。
あくまで、離婚協議書(公正証書原案)作成までをお引き受けしています。

理由としては、
・離婚は当事者の身分に関する問題であり、当事者双方による手続きが原則であるから
・代理人では、公正証書締結の際のトラブルやアクシデントには十分な対応ができないから
・養育費等については、子供にも影響する問題であり、重要な手続きを他人に一任するのは無責任に思えるから
などが考えられ、当事務所の方針として公証役場での代理手続については消極的です。

また、養育費を支払う側にとっても、相手方が本人ではなく、代理人が公証役場に出頭してきたとなると、あまりいい気はしないでしょう。
離婚に対する誠意を示すためにも、原則通り公証役場へは当事者自ら出向くべきだと考えます。

残念ながら、行政書士に依頼すれば、公証役場での手続も代行してもらい、簡単に離婚公正証書が作成できると認識している方は多くいらっしゃいます。
中には、公証役場での手続も代理する事務所も散見されますが、誰のための離婚なのか少し疑問を抱いてしまいます。当事者があまり関与せず、公正証書を作成することにはリスクがあり、将来の禍根にもつながりかねません。

離婚をするにも、筋を通すべきです。
正直、公証役場での手続も代理してほしいというのには、無責任さを感じてしまいます。

今回は、苦言となってしまいましたが、当事務所では、認識のズレを防ぐためにも、できることとできないことについてはきちんと説明しています。
公証役場での手続をしないことを理由にご依頼には至らなかった相談も多いですが、それもご依頼者様のご意向で、当事務所としても押し売りはしません。
お互いにサービス内容に納得したうえで、サービスを提供させていただいております。