行政書士や、弁護士、その他の士業(八士業)については、「職務上請求」という特別な権利が認められています。
これは、業務(職務)の遂行に必要な場合に限り、対象者からの委任状なしで、職権にて住民票や戸籍謄本等を請求・取得できるものです。
我々士業者に高い公共性や公益性、信用性があるからこそ認めれれている権利です。

ところが、この「職務上請求」を悪用し、不正に住民票などを取得する事例が発生しています。
業務に関係なく、士業でない業者からの依頼で、職務上請求を悪用し、住民票などの情報を横流ししていたようです。
このような不正があると、当事者だけでなく、業界全体のイメージが悪化し、全く問題のない行政書士にも飛び火しかねません。
信用を第一とする業界ですので、このような不正が発生したことは非常に残念に思います。

職務上請求を行うには、まずは行政書士会所定の講習(研修)を受講し、専用の請求書の綴りを購入します。
綴りも、年間での購入限度数が定められており、払い出しも詳細に記録されます。万一、紛失した場合は、警察への届出も必要なほど、厳密な取り扱いが義務付けられています。

当事務所でも、所定の講習(研修)を受講し、職務上請求書を保有しています。ただし、今までに1回も職務上請求を行ったことはありません。
方針として、原則はご依頼者様からは、ご自身で住民票などをご準備いただくか、委任状を提出いただいて対応しています。
もっとも、職務上請求の方法や心得については、個別に行政書士会に質問するなどして、どこまでが適法か確認していますし、例外的に必要があれば、職務上請求も検討します。

先日も、行政書士による職務上請求の不正が全国的に報道されており、同業として残念に思いますが、当事務所では、そのような不正がないように万全の体制をとっております。
基本的には、職務上請求そのものを利用しないという方針であり、みだりにプライバシーが漏洩することのないよう注意を払って、行政書士業務を遂行していきます。