今回は、相続に伴う移転登録について投稿します。
今回の依頼内容は、個人名義の自動車(普通車)を相続人でない第三者に名義を移転してほしいというものでした。
この場合、
①被相続人→相続人
②相続人→第三者
というように、2回の移転登録が必要となります。「ダブル移転」などと呼ばれます。
今回は、被相続人が、生前に離婚しており、相続人は、被相続人の子(以下、Aといいます。)ひとりでした。なお、Aの親権者は、被相続人の元配偶者(以下Bといいます。)です。
そして、相続が発生した時点で、Aは未成年者でした。
また、Bは、相続発生前に再婚し、AとBは、被相続人の名字とは異なっていました。
①被相続人→相続人(A)への移転登録
相続は法律行為ではないため、単なる相続による移転登録で問題ありません。未成年者でも、自動車の所有者になることはでき、この場合、親権者の同意は不要です。
②相続人(A)→第三者への移転登録
Aは未成年者であるため、A単独で第三者に名義を移す(移転登録)ことはできません。親権者であるBの同意が必要です。
この場合、Aの印鑑証明書に代えてAの住民票が必要になるほか、Bの印鑑証明書が必要です。
今回は、被相続人の戸籍謄本からAが相続人であることとBがAの親権者であることが明らかであったため、Bの戸籍謄本は不要でした。
離婚と再婚をしており、場合によっては、Bの戸籍謄本を付し、名字の変更ないし本人性を確認する必要があるようです。
譲渡証明書や委任状の記載方法も、
譲渡人:A 親権者B
委任者:A 親権者B
というように、連名で記載します。
譲渡証明書と委任状には、Bの実印を押印します。
以降は、通常の移転登録に同じです。
今回は、やや複雑な案件であり、運輸支局担当者向けの取扱要領を読み込み、直接窓口に相談して対応しました。
必要な資料も必要最小限にするため、戸籍謄本や印鑑証明書などで本人性が確認できる旨などを伝え、折衝も行いました。
しっかりと下準備を行ったため、特に補正や不足もなく、無事に目的を達成する事ができました。
当事務所では、自動車関連の業務も積極的に受任しています。
複雑な案件でも対応可能ですので、お気軽にお申し付けください。