「Ⅲ 登記完了証と登記識別情報」では、無事に相続登記が完了(成功)し、将来のための「登記識別情報」の交付を受けたことをご報告しました。
今回は、一連の相続手続のまとめと感想を投稿します。
①相続の開始と相続人の確定
お亡くなりになった時点で相続が開始されます。自身のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続するか、相続を放棄するか決断しなければなりません。
相続手続を進めるために、
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本→相続人を確定させるため
・相続人それぞれの戸籍謄本→相続人たる資格の確認のため、相続開始時に生存していたことを証明するため
が必要です。
②財産調査と遺産分割協議
被相続人の財産は、相続財産となり、相続人に受け継がれることとなります。当然、財産の有無や現況、評価額などを調査する必要があります。
不動産であれば、不動産の全部事項証明書や評価通知書をもとに相続すべき不動産の詳細を把握します。
相続財産の調査が完了して後は、財産を相続人らでどのように分配(分割)するかを決めることとなります。いわゆる「遺産分割協議」であり、相続人全員で協議する必要があります。
全員の合意が得られ、遺産分割協議が成立した場合は、その内容を「遺産分割協議書」として書面にまとめます。相続人全員の署名と押印(実印)のうえ、各相続人に協議書を交付します。相続人全員の印鑑証明書を添えて遺産分割協議書は完成です。遺産分割協議書は相続登記の際の「登記原因証明情報」となり、審査の対象となるため、作成には細心の注意を払います。
また、「相続関係説明図」を作成し、被相続人と相続人との関係を図示します。不動産を取得しない相続人は、「分割」と記載します。
③登記申請書の作成
遺産分割協議において、不動産を取得することになった者が新たな所有者となります。
不動産取得者の住民票(いわゆる「住所証明情報」)と印鑑証明書を登記用に準備します。
登記申請書には、不動産の全部事項証明書や遺産分割協議書の内容を記載します。
不動産の価額や登録免許税については、租税特別措置法の適用がある場合がありますので、注意して計算します。
必要事項を記載し、収入印紙を台紙に貼付し、契印を押印して登記申請書は完成です。
相続人自らが登記手続をしない場合は、委任状が必要です。委任状にも相続人から押印をもらい、登記申請書類一式と併せて提出(申請)します。
④登記完了証と登記識別情報の交付
提出書類に不備がなければ、申請から1週間程度で相続登記が完了します。今回、特に不備はなく、予定通り1週間程度で登記完了証と登記識別情報の交付を受けました。
相続関係説明図を提出していたためか、戸籍謄本等については返還を受けました。
その後に、不動産の全部事項証明書を取得し、正しく登記がなされているか確認します。
⑤相続人への報告
登記完了証と登記識別情報、最新の不動産の全部事項証明書を見せながら、相続登記が無事に完了したことを報告し、手続は終了です。
【感想】
手引きを熟読したり、法務局に相談したりしながら進めれば、決して難しい手続ではないように思いました。必要書類の収集や相続人調査、財産調査や遺産分割協議書については、若干の法的知識も必要かと思います。
これまでは理屈では認識していましたが、実務の経験がなかったため、今回の手続は、大いに実務の勉強になりました。
自分の作業が認められ、自分で登記手続を完遂できたことは大きな自信となりました。
遺された遺族の意思を明確にし、適切に財産を管理するためにも、相続は不可欠です。
行政書士として相続登記申請はできませんが、それでも、実体験をもとにした生きた知識を得ることができました。
ここでの経験や知識は、相続に関する相談において必ず役に立つものであると思います。
これからも、分かりやすく、実践に即した助言やアドバイスができるように心がけていきます。
以上、【遺産分割(不動産)の実例】シリーズでした。
相続や遺産分割についてのご相談も、荒川行政書士事務所までお寄せください。